石塚友二の句碑

石塚友二の句碑

新津駅東口、坂口安吾の「あちらこちら命がけ」の碑が移転する前からあった句碑です。2006年に建立されました。

碑面には、「月仰ぐ 顔に煤降る 新津駅 友二」と刻まれています。帰郷して降り立った新津駅の情景を詠んだそうですが、数多くの蒸気機関車が行き交った駅の賑わいが感じられるようです。

この句を詠んだ石塚友二(1906~86)は、北蒲原郡笹岡村(現・阿賀野市)出身の作家・俳人です。上京して横光利一(1898~1947)に師事するとともに、俳句を水原秋桜子(1892~1981)に学び、石田波郷(1913~69)が創刊した俳誌「鶴」の主宰を継ぎました。

ちなみに、石塚は安吾と同じ1906年生まれ。誕生日は石塚の方が9月20日で、安吾(10月20日)よりちょうど1月早いです。亡くなった年は、安吾は1955年、石塚は1986年と31年違いますが、命日は石塚は2月8日、安吾は2月17日と、どちらも2月でした。ということで、石塚も来年(2026年)は生誕120年・没後40年ということになります。

また、石塚は1942年に小説「松風」が芥川賞候補(同作で1943年池谷信三郎賞受賞)となっており、安吾は戦後復活した芥川賞の選考委員を1949年から54年まで5年間務めました。

石塚と安吾との間に交流があったかどうかは不明ですが、互いに全く意識しないということはなかったのかもしれません。